オフショア法人の活用法 パート2

オフショア法人のメリットと用途

国・地域により異なりますが、オフショア法人のメリットは以下です。
(1)税務関連。オフショア域外で得た収益について法人税並びに消費税の対象になりません。また、付加価値税や配当税が存在しません。

(2)秘匿性。株主・取締役の個人情報(パスポート番号や住所等)や資本額は開示されない国・地域があります。しかし、香港・シンガポールでは一定の情報は開示されます。

(3)会計関連。資本要件がなく(1ドルから設立可能)、増資・減資手続きが容易で、繰越損益できる期間が無限です。また、決算・監査がない国・地域があります(香港・シンガポール法人には年次監査義務があります)

(4)非居住者でも法人設立が可能で、株主・取締役が1名・1社(自然人が必要ありません)で設立が可能です。

パナマ文書事件と規制強化

2016年4月、モサック・フォンセカという法律事務所が1970年頃より保管していた、オフショア法人の口座情報や株主・取締役の機密情報がハッキングにより流出するという事件がありました。結果、多くの著名人がオフショア法人を所有していることが明るみになりました。この時、オフショア法人を活用するとこが叩かれ、印象が悪くなりました。

パナマ文書事件は多方面にて良い影響がありました。マレーシア政府機関1MDが関連する汚職事件やマネロンも、パナマ文書事件を皮切りに捜査がはじまりました。国際アンチマネロン組織FATFの働きかけにより各国の規制は強化され、共通通知規制(CRS)条約 よりオフショア法人の情報は銀行レベルで共有され、実質経済ルール(Economic Substance Rule) により(一部のビジネスは)オフショアに拠点を保有する要件が確立されました。しかし、逆を言えば、パナマ文書のお陰で、正しくオフショア法人は浄化され透明性が担保され、国際的に認められたビジネスとしてなりました。

設立方法

英国領バージン諸島(British Virgin Island)(以下、「BVI法人」)を例に、設立と口座開設までのながれを説明します。

BVI法人を設立するには、英国領バージン諸島に実際に事業所を構え、専門ライセンスをもつエージェント(「エージェント」)に設立を依頼します。そのエージェントは、香港、シンガポール等の国際金融都市に代理店があり、実際の取引はその代理店を介して行われます。弊社もエージェントと提携しています。

前述の通り、アンチ・マネロンルールや実質経済ルールが厳格化され、発注する前に、申請書(設立する理由等、創設者の住所、オフショア以外の住所、職業、資金の源泉等の情報を記載します)、パスポートコピー、住所証明等をそのエージェントに提出し、本人確認手続きが行われます。特に、BVI法人はこの手続きが厳しくなる傾向にあり、申請が拒否される場合があります。

本人確認手続きが完了すると、エージェントから請求書と伴に、議事録 (First Written Resolution)にて、法人名の決定、事務所の設定(エージェントが提供する住所)、取締役の選任、株式発行等が定められます。First Written Resolutionに調印することで、オフショア法人を購入したことになります。 購入後、グリーンボックスという印鑑、定款、法定帳簿、株券が保管されるファイルがエージェントから送られてきます。

オフショア法人を証明する書類として、設立証明書(Certificate of Incorporation), 定款(Memorandum and Articles of Association), 株主・取締役の在籍証明書 (Certificate of Incumbency), (法人存在証明書)Certificate of Good Standing があります。

尚、Economic Substance Ruleにより、2年目も設立時と同等の審査があり、年会費(設立費用の7割くらい)を納めます。しかし、前述の通り、監査・決算の義務がないため、年会費を納めるだけで、その他の年間費用はかかりません。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。