CRS(Common Reporting Standard もしくは 共通報告基準)は、租税回避防止を目的とし、条約により、批准国の金融機関が保有する情報を必要に応じて交換する制度で、香港・日本を含む100以上の国・地域が批准しています。2014年に宣言があり、その後各国において制定・施行されています。米国の税法である外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act もしくは 「FATCA」)は、米国の納税義務のある方が、米国以外の金融機関の口座を利用して米国の税金を逃れることを防止するために制定されましたが、CRSはFATCAの国際版と認識している専門家もいます。
金融機関に課される法律ですが、香港法人の口座開設の際、CRSに関する同意書にはサインをもとめられます。同意がない場合には口座開設はできなくなります。CRSではどのような情報が開示されるのでしょうか? 各国の合意により若干の違いはありますが、以下の情報が必要に開示されます。
- 口座名義、住所、納税番号、生年月日、出生地
- 口座番号
- 該当する金融機関名と銀行番号
- 口座残高(年次)並びに閉鎖の有無
- 付加価値、配当、利息等の情報(口座使途により)
共有される情報は税務関連の情報ですので、同意書にサインしたからといって、口座開設の全情報が開示されるわけではありません。また、近年個人情報保護法や銀行関連レギュレーションは厳しくなっておりますので、CRSによる情報開示は限定的と考えます。