アフリカ進出ストラクチャー (TAX編)

豊富な資源と、人口増加によりアフリカ経済の成長は今後期待できるため、今後アフリカ諸国へ投資・進出する企業はより一層増加すると予想します。資源、人口増加以外でもIT技術のハブとなりつつあるのが、ナイジェリアやケニアを含む東アフリカ連合(East Africa Federation)です。また、エジプトや南アフリカも、引き続き外国人にとってビジネス環境が良好であると考えます。

しかし、アフリカ進出の弊害になるのは税金です。タックスヘブンの香港やシンガポールと比べると、アフリカ諸国の法人税、消費税、所得税は高いため、アフリカから(日本を含む)国外に税務を軽減するためのストラクチャーが非常に大切です。

国名法人税率(%)配当税(%)消費税(%)所得税(最高)(%)
ナイジェリア3027.524
ケニア3051630
エジプト22.510/51425
南アフリカ28201545
香港16.25/8.250017

また、海外送金をする際、収入が発生した国で税務が発生する国と、収入を実際受け取った国で税務が発生する国があるため、二重課税(Double Taxation)のリスクがあります。1つの対策として、二重課税回避条約(Double Taxation Treaty/ DTA)を締結する国々をストラクチャーに組込み事ですが、アフリカ諸国ではDTAの締結があまり進んでいません。

ナイジェリア https://firs.gov.ng/tax-treaties/

ケニア https://www.treasury.go.ke/agreements/
2つ目の対策は、以下の様にアフリカ諸国に設立された法人から、ドバイ、モーリシャス、セイシェル、ケイマン諸島、英国バージン諸島などの域外収益に課税されない国・地域にオフショア法人を設立し、口座開設をすることです。このようなオフショア口座に送金することで、税務を圧縮することが可能です。 オフショア法人の設立、税務対策、法人口座開設は弊社までご相談下さい。

中央銀行デジタル通過(CBDC)に関する香港金融管理局(HKMA)の見解

香港の中央銀行である香港金融管理局(HKMA)は今週、香港発行の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の方向性について発表しました。

https://www.hkma.gov.hk/media/eng/doc/key-functions/financial-infrastructure/e-HKD_A_Policy_and_Design_Perspective.pdf

各地域においてCBDCを調査が進められています。例えば、スウェーデンの銀行家は現金の使用の減少を懸念しています。バハマ政府として、金融包摂のためのシステムを構築しようとしています。カナダ中央銀行は、個人向け預金の競争を激化させることを危惧しています。一方、中国人民銀行は、AlipayとWeChatが国のマネーサプライを支配していることを取り除こうとしています。HKMAも同様に調査を行ってきましたが、最大の貿易相手国である中国が発行するe-CNYとの関係性が注目されます。

他の政府によって提起されたこれらすべての問題は、香港にある程度存在します。しかし、HKMAの評価では、これらの問題は、小売業に焦点を当てたCBDC(「rCBDC」と呼んでいます)の導入を正当化するほどのものではありません。

HKMAの見解は以下になります。「rCBDCは現金のデジタル拡張を目的としていますが、その潜在的な需要は非常に不確実です」 「潜在的な保有者は、rCBDCの預金口座から資金を切り替える必要があるかもしれません。これは、商業銀行のバランスシートに影響を及ぼし、銀行の仲介を取り消すことにつながります。」

HKMAの分析によると、銀行の利ざやと収益性が圧迫される可能性があります。これは、消費者が銀行預金を預金が保管されているrCBDCに交換するにつれて預金が減少し、中央銀行が消費者にコストを追加する可能性があるためです。

また、HKMAはこのような懸念を表明しています。「銀行はまた、より高い貸付スプレッドを課すことにより、より高い資金調達コストを顧客に転嫁することを選択するかもしれない」 「資金調達コストと貸付スプレッドの増加が全体的な信用状態の引き締めにつながるという遠隔のケースでは、消費と投資活動は必然的に影響を受けるでしょう。」

HKMAは、これを、rCBDCが無報酬である可能性が高いため、実行される可能性が高いシナリオとは見なしていません。つまり、負の金利のようなインセンティブ構造がない場合です。

「銀行預金に対する価値の貯蔵庫としてのe-HKDの魅力も制限されるべきであり、したがって銀行の仲介リスクは管理可能でなければならない」とHKMAは述べました。

顧客対応側では、HKMAは、rCBDCがどのような問題点に対処するかを正確に把握していません。香港には、回復力があり効率の高い「便利な小売支払いオプションがたくさんあります」とのことです。大量採用は、これが解決する明らかな問題点がある場合にのみ発生します。

なぜCBDCが本当に必要なのかというこの実存的な問題は、テクノロジーを探求した多くの国で、以前は中央銀行によって提起されてきました。

アクセンチュア(ACN)のようなコンサルティンググループとその弱者は、テクノロジーの長所を称賛するホワイトペーパーに基づいてホワイトペーパーを作成する可能性がありますが、それが依然として必要かどうかは不明です。

このトピックに関するカナダ銀行の研究論文は、CBDCを介した福祉の分配からわずかな理論的利益があるかもしれないことを発見しましたが、プラットフォームの純利益に対する一般の認識は依然として課題です。

2021年にこのトピックについて話すと、米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長は、その必要性について以下のような懐疑的な見方を示しました。 「私たちにとって本当のしきい値の質問は、すでに非常に効率的で信頼性が高く革新的な決済システムを補完するために、新しいデジタル形式の中央銀行のお金を望んでいるか、必要としているのでしょうか?」

今後のCBDCの動向について注視していきます。

2021年 暗号通貨業者VASP適用 FATFについて

2018年10月、国際機関であるファイナンシャルタスクフォース(FATF)は、暗号資産に係わる金融活動がFAFTルールが適用されることを明確にするために、Recommendationの変更を行いました。 FATFにより、用語集に「暗号資産」(VA)と「暗号資産サービスプロバイダー」(VASP)という2つの新しい定義を追加されました。修正されたFATF Recommendation15は、VASPがマネーロンダリング防止およびテロ資金供与(AML / CFT)の目的に対抗するために規制され、認可または登録され、監視または監督のための効果的なシステムの対象となることを要求しています。

2019年6月、FATFは、特にVAの活動・運用、VASPへのリスクベースのアプローチの適用に関して、FATF要件がVAおよびVASPに関連してどのように適用されるべきかをさらに明確にするためにRecommendation15の解釈ノートを作成しました。

FATFはまた、2019年6月にVAおよびVASPへのリスクベースのアプローチの適用に関するGuidance1の最初のバージョンを発行しました。これは、各国当局がVA活動およびVASPに対する規制および監督上の対応を理解および開発するのを支援し、VA活動に従事しようとしている民間部門の事業体がAML/CFT義務を理解するのを支援することを目的としています。そして、それらがこれらの要件に効果的に準拠する方法。このガイダンスでは、VA活動に関連するマネーロンダリングおよびテロ資金供与(ML / TF)リスクを理解し、それらのリスクに対処するための適切な緩和策を講じるために、VA活動に関与する国およびVASP、およびその他のエンティティの必要性について概説します。特に、ガイダンスは、VAのスキームについて具体的に検討する必要があるリスク指標の例を提供し、トランザクションをさらに難読化する、またはVASPが顧客を識別する能力を阻害する要因に重点を置いています。このガイダンスでは、VA活動とVASPがFATF基準の範囲内にどのように含まれるかを検証しています。 VASP定義の対象となる5種類の活動について説明し、定義に含まれるVA関連の活動の例と、FATFの範囲から除外される可能性のある活動の例を示します。その点で、VASPとしての資格を得るのに必要な重要な要素、つまり、他の人のために、または他の人に代わってビジネスとして行動し、VA関連の活動を提供または積極的に促進することを強調しています。ガイダンスでは、FATF勧告の各国および管轄当局への適用について説明しています。また、VASPや、銀行や証券ブローカーのディーラーなどの金融機関など、VA活動に従事するその他の義務のある事業体にも適用されます。ほとんどすべてのFATF勧告は、VAおよびVASPに関連するML / TFリスクに対処するために直接関連していますが、他の勧告は、VAまたはVASPに直接または明示的にリンクされていませんが、依然として関連性があり、適用可能です。したがって、VASPには、金融機関および指定された非金融事業および専門職と同じ一連の義務があります。

このガイダンスでは、勧告ごとのアプローチに従って、FATF勧告に基づくVASPおよびVAに適用されるすべての義務について詳しく説明しています。これには、FATF勧告のすべての資金または価値に基づく条件(たとえば、「資産」、「収益」、「資金」、「資金またはその他の資産」、およびその他の「対応する価値」)にVAが含まれることを明確にすることが含まれます。したがって、各国は、FATF勧告に基づくすべての関連措置を、VA、VA活動、およびVASPに適用する必要があります。

ガイダンスでは、VASPの登録またはライセンス要件、特にVASPを登録またはライセンスする国を決定する方法について説明しています。少なくともVASPが作成された場所です。または、彼らが自然人である場合、彼らの事業が所在する管轄区域で。ただし、管轄区域では、管轄区域内または管轄区域から事業を行う前に、VASPのライセンスまたは登録を要求することもできます。ガイダンスはさらに、これらの国家当局は、必要な免許または登録なしにVA活動を実施する自然人または法人を特定するための措置を講じる必要があることを強調しています。これは、国レベルでVAおよびVA活動を禁止することを選択した国にも同様に当てはまります。 VASPの監督に関して、ガイダンスは、自主規制機関ではなく、管轄当局のみがVASPの監督機関または監視機関として機能できることを明確にしています。彼らは、リスクに基づく監督または監視を実施し、検査の実施、情報の作成の強制、制裁の実施など、適切な権限を持っている必要があります。 VASPの活動とサービスの提供の国境を越えた性質を考えると、監督者間の国際協力の重要性に特に焦点が当てられています。ガイダンスは、VASPおよびVA活動に関与する他のエンティティが、FATF Recommendation 10から21に記載されているすべての予防措置を適用する必要があることを明確にしています。ガイダンスは、VAのコンテキストでこれらの義務をどのように果たすべきかを説明し、特定の要件に関する説明を提供します時折の取引のUSD/EUR 1000のしきい値に適用され、それを超えるとVASPは顧客のデューデリジェンスを実施する必要があります(Recommendation 10)。また、VA転送を実行する際に、必要な発信者および受益者の情報を迅速かつ安全に取得、保持、および送信する義務(Recommendation 16)(「トラベル・ルール」)。ガイダンスが明確にしているように、関連当局は、これが国のデータ保護およびプライバシー規則と互換性のある方法で実行できることを保証するために調整する必要があります。最後に、ガイダンスは、VA活動、VASP、およびAML / CFTの他の義務付けられたエンティティを規制、監督、および実施するための管轄アプローチの例を提供します。

2021年10月、このガイダンスが更新され、公的部門と民間部門に改訂されたガイダンスが提供されました。これらの改訂は、FATFからのより大きなガイダンスが求められた6つの主要分野に焦点を合わせました。

(1)VAおよびVASPの定義を明確にして、これらの定義が広範であり、関連する金融資産がFATF基準(VAまたは別の金融資産として)でカバーされていない場合がないことを明確にするためのものです )

(2)FATF基準がステーブルコインにどのように適用されるかについてのガイダンスを提供し、ステーブルコインの取り決めに関与するさまざまなエンティティがFATF基準の下でVASPとして適格である可能性があることを明確にします

(3)各国が利用できるリスクとツールに関する追加のガイダンスを提供します。義務付けられたエンティティを含まないトランザクションであるピアツーピアトランザクションのML/TFリスクに対処するために

(4)VASPのライセンスと登録に関する最新のガイダンスを提供

(5)一般の人々に追加のガイダンスを提供します。 「旅行規則」の実施に関する民間部門

(6)VASP監督者間の情報共有および協力の原則が含まれます。このドキュメントには、2019年のガイダンスが組み込まれており、これに優先します。

【香港活用方法】 中国投資・進出について(2022年2月18日現在)

最近、海外事業を展開するビジネスマンから「米中対立が収束した後、中国経済圏はどのようになるか」という照会があります。国際政治情勢は欧州・アジアにて激化し、不確実性が高まっていますが、いつか収束するはずです。本稿では、地政学的リスクが収まることを前提に、事実に基づき、中国経済圏の展望について冷静に分析し、国際金融都市「香港」の活用方法とリスク回避方法についてご紹介いたします。

以下が中華圏・香港の状況です。

  • 中国経済圏は(国土が広くGDPの元データの質について諸説ありますが)世界第2位の経済圏で、現在鈍化傾向であるものの成長を続けています。
  • 不動産バブルが崩壊しましたが、主要都市の経済は成熟し、中国中央政府は「共同富裕」(Common Prosperity) による貧困層への資産分配(Wealth Distribution)を打ち出しました。
  • 米国シリコンバレーを見本に、深圳はAIやIOT分野のハブとなり投資活動が盛んになりました。欧米企業や日本企業がなかなか入り込めないのが現状です。
  • 政治制度について、時の政権により左右されますが、中国は「社会主義」に基づくため、欧米諸国や日本の「民主主義」制度とは異なります。台湾関係を含め、欧米諸国・日本との外交的な衝突は絶えません。

    香港について
  • 2014年頃より民主化デモがスタートし、2019年秋には激化しました。当局はデモ活動は外国勢力に影響されていると考え、外国勢力を排除するための「国家安全法」が施行されました。その後、扇動行為や国家反逆罪の取締が強化され、コロナ・オミクロン蔓延にも後押しされ、デモ活動は沈静化しました。
  • 英国との共同宣言(Joint Declaration)に基づく一国二制度は2047年に終了しますが、中央政府は以後の香港の在り方について一定の影響を与えています。英国より返還された1997年頃と同様に、多くの香港人が、北米、英国、欧州、日本、台湾などに移住しています。
  • Google 等の欧米企業や日本企業は、香港撤退・縮小を検討しますが、国際金融機関の香港拠点はアジアでの投資活動を支えています。他方、香港域内のデータセンターに対する投資は以前より増加傾向にあります。

上記事実に基づき、中立的なコメントをいたします。

メディア・ソーシャルメディアにより影響された感情論は、中国投資を避ける傾向にあるなか、対中投資の在り方(一部撤退、リスク回避手段等)を見直す必要がありますが、海外展開するビジネスが世界第二位の経済圏に(完全に)背を向けるのは、正しいビジネス判断であるのか著者は疑問を感じています。 

香港の隣町である深圳は、シリコンバレーや日本の技術力に大きく影響され、AI・IOTのハブとして成長しましたが、発展経緯、技術革新のスピードは、現地独特の商慣行や人材が寄与しています。中国グレイターベイエリア(China Greater Bay Area) 構想の、動向には今後注視していきたいです。https://www.bayarea.gov.hk/en/home/index.html

「国家安全法」は社会主義国的方針により運用されていますが、「扇動罪」、「国家反逆在」は諸外国の法律とそれほどかわりませんし、香港司法制度の独立性に影響は確認できません。しかしながら、諸外国は国家安全法の運用方法について良く捉えていないため、外交的かつ丁寧に説明し、両者が理解する努力が必要と考えます。同時に、中国大陸の歴史は外国勢力の侵略・影響によって大きく左右されたことから、政治判断やセンティメントに歴史観が影響することは注意すべき点です。

香港人の移住ブーム、一部国際企業の香港撤退は、1997年前(香港中国返還時)の光景と酷似します。しかし、移民ブームを経て、2003年SAR後、香港は中国のゲートウェイとして脚光を集め経済は急回復しました。香港経済にサイクルがあると仮定すると、幾何学的に2019年が経済縮小のどん底であり、そこから成長するかもしれません。コロナ並びに政治情勢が安定すれば、また人材が集まり発展する国際都市となる可能性はあります。

地政学的不安をチャンスと捉える方もいます。米国著名投資家でBridge Water Associates創設者である Ray Dalio氏 は、アリババに追加投資をしています。Dalio氏は親中派として知られますが、現況を機会としてして捉え中国事業家に恩を売る良いタイミングかもしれません。https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-01-25/dalio-says-u-s-divisions-pose-risk-for-2024-election-upheaval

中国経済が継続して成長することを想定すると、現段階で中国経済から完全撤退してしまうと、地政学的リスクが改善された際、ビジネス機会を逃す事になってしまいます。一方、地政学的リスクは、投資家やビジネスマンのコントロール下には無いため、代替案(Plan B)は必須です。

引き続き、ゲートウェイであり法人税の低い「香港」を活用するのが合理的ですが、監査義務のないオフショア法人(例 英国バージン諸島、ケイマン諸島、セイシェル)を香港にて「外国法人」登録することで、香港域内の口座開設が容易となります。香港が政治的に影響をうけることに備え、第三国の銀行口座に一定資金をプールしておくことでリスク回避が可能です。

地政学的問題が一日も早く解消されることを願います。香港法人・オフショア法人に関して、Visence Professional Services (https://visence.info/)にご相談ください。

コロナ禍 海外口座手続き 公証制度(Notary Public) 活用方法

コロナ禍 海外口座手続き 公証制度(Notary Public) 活用方法

海外の銀行、証券会社、金融機関での手続きは、原則、銀行支店等での申請を前提としています。例えば、香港・シンガポールにある金融口座であれば、現地支店に登録されたサイナーや取締役が赴き、銀行員の面前にてサインを行うことが多いと思います。

しかし、コロナ下で渡航不可だったり、入国後に長期隔離があるため、銀行手続きだけで渡航するのは現実的ではありません。

そのような場合、銀行手続きをどのように行えば宜しいでしょうか?また、なぜ海外の金融機関は現地支店での申請を求めるのでしょうか? 

答えは、サイナー本人の本人確認をし、サイナー自身がサインしている事を銀行員の責任にて確認 (Witness)しているから。

解決方法として、銀行手続きの種類にもよりますが、公証制度(Notary Public) を活用するの効率的です。

言い換えれば、国際法上の手続きに則り、然るべき資格を要した人間がサイナーの本人確認を行い、登録サイナー自身が確かにサインしたことを「認証」すれば良いです。

金融機関より、所定フォーム、定款、議事録、サイン鑑、等を求められるであれば、その書類を公証人役場(Notary Public) に持参し、公証人の面前にてサイナーがサインをします。公証人は、その書類にサイン=認証(Authentication)します。(その際、法務局・政府所定の追加書類を添付したりしますが、特に問題ありません。) また、その際、公証人がサイナーの本人確認をした事を確認するため、パスポートの原本証明を作成してもらう事をおすすめします(要は、パスポート原本、パスポートコピーと、「この写しは原本と相違が無い事を証明します」という書類を公証人に渡し、それを認証してもらういます)。 

尚、上記公証手続き後に、当該書類をアポスティーユ認証 (Apostille)してもらうことで(ご自身で外務省にて続きをする事も可能)、より信ぴょう性がある国際法上の公的的書類となります。

上記認証後、原本を香港・シンガポールの銀行に送付すれば、現地支店に赴き手続きを行った事と同等の効果となります。渡航コストが、公証費用となったとすれば、損した気分にはならないと思います。

公証手続きご不明な点がありましたらVisence Professional Servicesにご相談ください。

セイシェル IBC法改正_会計記録要件

2021年8月6日に発効したセイシェル国際事業会社(IBC) が改正されましたので、以下要約いたします。

A)年2回の会計記録義務

以下何れかに該当する場合は、年に2回の間隔で、セイシェルにある事業体の登録事務所での会計記録を提出する必要ごあります。

(1)
(a)持ち株会社(独自貿易または事業運営を行っていないが、他の会社または資産の持分を保有している会社を意味する)である事業体の場合。

(b)非大企業(歳入管理法に基づく企業の年間売上高がセイシェルルピー50,000,000以下であることを意味する)

(2)暦年の前半(1月~6月)の会計記録は、その年の7月までにセイシェルに保管する必要があります。一方、暦年の下半期(7月から12月)の会計記録は、翌年の1月までにセイシェルに保管する必要があります。

2021年12月31日までの過去7年間の会計記録は、2022年2月6日までにセイシェルに保管する必要があります。

B)年次財務サマリーの保持

以下に該当する場合、事業体の会計年度末から6か月以内にセイシェルの登録事務所に保管される年次財務概要を作成する必要があります。

  • 大企業および
  • 非大企業の非持ち株会社ごとに年次財務要約が必要です。

C)会計記録の構成要素

法人に関連する「会計記録」は、法人の資産および負債、法人の収支、および法人が当事者である販売、購入、およびその他の取引に関する文書として定義されます。に。会計記録は、多くの形式をとることができ、基礎となる文書を含めることができます。

銀行取引明細書
領収書
販売/購入の請求書
バウチャー
タイトルドキュメント
契約書
元帳

D)会計記録の場所

(1)会計記録は、元の形式または電子形式のいずれかで保持する必要があります。法人の元の会計記録がセイシェル以外の場所に保管されている場合、法人は、法第175条(2)(2A)に従って、その場所の住所を書面で登録代理人に通知する必要があります。セイシェルの当局は、元の記録を要求する権利を保持していることに注意することが重要です。

(2)会計記録はセイシェルの登録事務所に保管する必要がありますが、登録事務所に提出する必要はなく、公的検査を受けることもできません。

E)コンプライアンス検査と罰則

違反する事業体は、10,000米ドルを超えない罰金を支払う義務があります。

セイシェル法人規制 国別報告 (Country by Country Report) について

経済協力開発機構(OECD)が定めた国際的な規制義務へのコミットメントを果たすために、セイシェルは国別報告(CbCR)に対応する国内法を導入しました。

2021年11月17日、セイシェル歳入委員会(SRC)は、セイシェル登録企業に対して、2021年12月10日までにアンケートに回答して詳細情報を提供するよう要請しました。

CbCRは、OECDの税源浸食と利益移転(BEPS)行動計画の行動13(移転価格文書の再検討)の一部であり、多国籍グループが税務当局に新たな年次申告書を提出すべきであるという提案から生じています。多国籍企業で収益、税引前利益、およびその他の財務情報をどのように割り当てるかについて、税務当局に可視性を提供するように設計されています。レポートには、各グループエンティティの名前とそれに関連するアクティビティも含まれます。

セイシェル法は、多国籍企業グループの一部を形成する事業体がCbCRの義務の範囲内にあることを規定しています。

a)異なる管轄区域に税務上の居住者である2つ以上の企業を含むグループ、または、ある法域に税務上の居住者であり、別の法域の恒久的施設を通じて実施される事業に関して課税対象となる企業が含まれる場合。


b)2018会計年度(およびそれ以降の会計年度)の連結グループ総収益が7億5,000万ユーロ以上の企業。 ご不明な点がありましたら、Visence Professional Services にご相談ください。

オフショア法人の活用法 パート3

オフショア法人の口座開設について

香港・シンガポールでは口座開設は比較的容易に完了します。しかし、その他のオフショア法人の銀行口座開設は非常に困難ですが、時間をかければ開設は可能です。

しかし、ここで誤解してはいけないのは、わざわざオフショア(英国領バージン諸島)に行って設立する必要はありません。香港もしくはシンガポール等の国際金融都市にある銀行にて、海外口座として開設をすることが可能です(注意 スイス、ルクセンブルク、オランダ以外のオフショアにある銀行はお勧めしません)。以下、香港もしくはシンガポールにあるHSBC、Standard Charted Bank, DBS, 等の大手銀行にて、法人口座開設を行う事を想定致します。

銀行の口座開設担当者からは、オフショア法人の口座開設を行う上で、以下2点に説明を求められます。

(1)オフショア法人の会社情報を客観的に確認できること。

(2)なぜオフショア法人を活用する必要があるのか。

(1)については、設立証明書(Certificate of Incorporation), 定款(Memorandum and Articles of Association), 株主・取締役の在籍証明書 (Certificate of Incumbency), (法人存在証明書)Certificate of Good Standingを提出するだけでは、口座開設ができないという事です。対策として、透明性を担保するため、例えば、香港にオフショア法人を外国法人(Non – Hong Kong Company) として登記することで、香港のCompanies Registryに会社情報が登記されます。また、香港域内にて税務申告をすることで、銀行担当者への説明が容易になります。

(2)については、事業毎に精査が必要ですが、例えば、BVIに知的財産権を移転することで、BVI法人を活用する理由になると思います。この点、慎重に検討する必要がありますので、ご要望があれば弊社にご相談ください。

尚、BVI法人の銀行口座がなくとも、別途香港法人やシンガポール法人があり口座開設されていれば、その法人をBVI法人の決済口座とすることが可能です(会計・税務的に問題ありません)。また、取締役個人の口座をBVI法人の銀行口座とする方もいます。

コロナ下であっても、リモートにて、日本居住がオフショア法人の法人口座にアクセスすることは可能です。是非弊社にご相談ください。

日本居住者でも活用できるオフショア法人スキーム

日本居住の方(日本法人を所有されている事を前提)がオフショア法人を活用する際、注意すべき税務ポイントは以下2つです。

一つ目は、タックスヘブン税制 (外国子会社合算税制)です。日本法人がオフショア法人の株主となり、オフショアには事業実態がない場合、実質的にオフショア法人は日本法人の一部とみなされ、オフショア法人の収益も日本法人の一部とみなされ、日本法人に課税されるという制度です。


対策として、(当該税制において認められているように) 海外子会社(オフショア法人)との資本率を20%以下に抑えることで「外国子会社」から非該当とすることです。言い返せば、海外企業とパートナーを組み、その企業に株式を81%以上保有してもらう方法です。株主間契約で上手くコントロールすることで、株式が多く保有されていても、オフショア法人をコントロールすることも理論上可能です。契約的に海外企業にパートナーとなる方法は例えば、ノミニーの様な方法など色々とありますので、弊社までご相談ください。

二つ目は消費税です。オフショア法人において、消費税が存在しないのですが、オフショア法人から日本法人に支払いする際、例えば、業務委託契約書に基づく送金するには、(日本法人の年収が1000万円の場合)消費税10%が課され、税務局にて納税する必要があります。しかし、配当にてオフショア法人から日本法人に送金することで、配当税が5%と優遇されます。

以下は、日本居住者が活用するオフショア法人スキーム です。 このようなストラクチャーにご興味がある方は是非弊社までご相談ください。

オフショア法人の活用法 パート2

オフショア法人のメリットと用途

国・地域により異なりますが、オフショア法人のメリットは以下です。
(1)税務関連。オフショア域外で得た収益について法人税並びに消費税の対象になりません。また、付加価値税や配当税が存在しません。

(2)秘匿性。株主・取締役の個人情報(パスポート番号や住所等)や資本額は開示されない国・地域があります。しかし、香港・シンガポールでは一定の情報は開示されます。

(3)会計関連。資本要件がなく(1ドルから設立可能)、増資・減資手続きが容易で、繰越損益できる期間が無限です。また、決算・監査がない国・地域があります(香港・シンガポール法人には年次監査義務があります)

(4)非居住者でも法人設立が可能で、株主・取締役が1名・1社(自然人が必要ありません)で設立が可能です。

パナマ文書事件と規制強化

2016年4月、モサック・フォンセカという法律事務所が1970年頃より保管していた、オフショア法人の口座情報や株主・取締役の機密情報がハッキングにより流出するという事件がありました。結果、多くの著名人がオフショア法人を所有していることが明るみになりました。この時、オフショア法人を活用するとこが叩かれ、印象が悪くなりました。

パナマ文書事件は多方面にて良い影響がありました。マレーシア政府機関1MDが関連する汚職事件やマネロンも、パナマ文書事件を皮切りに捜査がはじまりました。国際アンチマネロン組織FATFの働きかけにより各国の規制は強化され、共通通知規制(CRS)条約 よりオフショア法人の情報は銀行レベルで共有され、実質経済ルール(Economic Substance Rule) により(一部のビジネスは)オフショアに拠点を保有する要件が確立されました。しかし、逆を言えば、パナマ文書のお陰で、正しくオフショア法人は浄化され透明性が担保され、国際的に認められたビジネスとしてなりました。

設立方法

英国領バージン諸島(British Virgin Island)(以下、「BVI法人」)を例に、設立と口座開設までのながれを説明します。

BVI法人を設立するには、英国領バージン諸島に実際に事業所を構え、専門ライセンスをもつエージェント(「エージェント」)に設立を依頼します。そのエージェントは、香港、シンガポール等の国際金融都市に代理店があり、実際の取引はその代理店を介して行われます。弊社もエージェントと提携しています。

前述の通り、アンチ・マネロンルールや実質経済ルールが厳格化され、発注する前に、申請書(設立する理由等、創設者の住所、オフショア以外の住所、職業、資金の源泉等の情報を記載します)、パスポートコピー、住所証明等をそのエージェントに提出し、本人確認手続きが行われます。特に、BVI法人はこの手続きが厳しくなる傾向にあり、申請が拒否される場合があります。

本人確認手続きが完了すると、エージェントから請求書と伴に、議事録 (First Written Resolution)にて、法人名の決定、事務所の設定(エージェントが提供する住所)、取締役の選任、株式発行等が定められます。First Written Resolutionに調印することで、オフショア法人を購入したことになります。 購入後、グリーンボックスという印鑑、定款、法定帳簿、株券が保管されるファイルがエージェントから送られてきます。

オフショア法人を証明する書類として、設立証明書(Certificate of Incorporation), 定款(Memorandum and Articles of Association), 株主・取締役の在籍証明書 (Certificate of Incumbency), (法人存在証明書)Certificate of Good Standing があります。

尚、Economic Substance Ruleにより、2年目も設立時と同等の審査があり、年会費(設立費用の7割くらい)を納めます。しかし、前述の通り、監査・決算の義務がないため、年会費を納めるだけで、その他の年間費用はかかりません。