【リスクマネージメント】 国際仲裁機関の活用法 Part III

The Convention on the Recognition and Enforcement of Foreign Arbitral Awards (一般にニューヨーク条約として知られています)は、国際仲裁機関による判断が、批准国により承認並びに執行を約束するという内容の条約です。現在批准している国は以下です。

https://www.newyorkconvention.org/countries

1953年、国際商業会議所(ICC)は、国連経済社会理事会に対する国際仲裁判断の承認と執行に関する条約の草案を作成しました。その後、1958年春に開催された国際会議に提出されましたが、当時の議長はオランダの国連常任代表であるウィレムシュルマンと、後にコロンビアの国際法の第一人者であるオスカーシャクターが務めました。

ニューヨーク条約は画期的なもので、国際仲裁の礎となりました。今日において、多くの国が国際商事仲裁に関するUNCITRALモデル法に基づく仲裁法を採用していますが、ニューヨーク条約が柱となっています。

ニューヨーク条約の全文はこちらです。 https://www.newyorkconvention.org/english

国際仲裁は、国境を越えた商取引の裁判外紛争解決の手段です。裁判所の訴訟とはことなり、国際仲裁の主な利点は、仲裁判断が世界のほとんどの国で執行可能です。また、紛争を解決するための中立的なフォーラムを選択できること、仲裁裁定が最終的であり、通常は上訴の対象とならないこと、仲裁のための柔軟な手続きを選択できること、および機密保持が含まれます。

裁判により紛争が解決したら、勝者は判決を執行する必要があります。その理由として、敗者が自発的に支払う場合はないからです。敗訴した当事者の資産が裁判所の判決が下された国にない限り、勝者の当事者は、相手方が居住する管轄区域またはその資産が所在する管轄区域で裁判所の判決を取得する必要があります。判決が下された国と勝者が執行しようとしている国との間に裁判所の判決の承認に関する条約がない限り、勝者は裁判所の判決を使用して徴収することはできません。ニューヨーク条約によりこういった問題が解決することになります。

国際仲裁はクロスボーダーのリスクマネジメントにとって欠かせないもです。

【リスクマネージメント】 国際仲裁機関の活用法 Part I

国際仲裁とは、当事者の合意により、国際間における紛争についおいて、拘束力のある決定を下す1人もしくは複数の仲裁人が判断する手続きです。仲裁を選択するすることで、契約当事者は、裁判所に判断を委ねる代わりに、私的な紛争解決手続きを選択する事になります。

特徴を以下に纏めます。

(1)仲裁合意
仲裁は、当事者間の合意が必須条件となります。将来発生する紛争の場合、当事者は関連契約に仲裁条項を付記します。既に発生している紛争について、当事者間の合意によって仲裁に付託することができます。調停とは対照的に、仲裁合意により当事者は一方的に仲裁から撤退することはできなくなります。

(2)当事者選択
仲裁人を選任するのは、当事者になりますが、仲裁人を1名選任する場合と、3名の場合があります。1名を選任する場合、当事者間での合意となります。 3名の仲裁廷を設けることを選択した場合、各当事者は仲裁人の1人を任命します。

残り1名の仲裁人は議長の判断により選任されるか、国際仲裁機関のルールに従いは、専門知識を持つ潜在的な仲裁人を提案するか、仲裁廷のメンバーを直接任命することができます。国際仲裁機関は、経験豊富な紛争解決に専門化された実務家等、広範な名簿を管理しています。

(3)中立性
契約当事者は、適切な国籍の中立者の選択に加えて、適用される法律、言語、仲裁場所(Venue) などの重要要素を選択することができます。これにより、どの当事者もホームコートアドバンテージがないように注意を払います。

(4)機密性
仲裁の存在、その手続き中に行われた開示内容、および仲裁判断は、機密情報として守秘保護されます。当事者は、仲裁廷または仲裁廷の顧問に提出される企業秘密またはその他の機密情報へのアクセスを制限することができます。

(5)仲裁廷の最終的決定と、執行の容易性
両当事者は、仲裁廷の決定を遅滞なく執行することに同意する事になります。ニューヨーク条約に加盟している国々では、国際仲裁機関による仲裁判断を国内裁判所によって執行する義務があります。ニューヨーク条約に加盟する国は165か国を超えます。

国際間における紛争を事前にリスクマネジメントする為、国際仲裁機関を活用することをお勧めします。