香港居住者にはお得なFX取引(金融取引)の利益に係る税金

香港公認会計士のケンです。今日は香港におけるFXの利益にかかる税金について解説します。

香港税制とFXの利益に関する税金

香港の税制の特徴は、下記の3点になります。

  • 低税率
  • 源泉地主義
  • キャピタルゲイン非課税

この特徴については以下の記事で詳しくまとめています。よければご参照ください。

https://visence.info/profits-tax/

金融取引についても、上記の3点が適用されるため、金融取引が事業ではない場合はキャピタルゲインとなり非課税になります。

反対に、事業と認定されその源泉地(取引地)が香港であるとしても税率は16.5%もしくは15%ですので、低税率の恩恵を享受することができます。

居住ステータスで変わるFXの利益にかかる税金

個人と法人で、日本との関わりにより、香港でのFX取引を含めた金融取引に係る香港と日本の税金をまとめてみました。

個人:(香港居住者) 香港法人:
(日本法人との資本関係なし)
個人:(日本居住者) 香港法人:
(日本法人の子会社)
金融取引所得
例:FX、株式
香港:課税なし
日本:課税なし
(香港居住者はキャピタルゲイン非課税)
香港:課税なし
日本:課税なし
(香港法人はキャピタルゲイン非課税)
事業は非金融事業
香港:課税なし
日本:課税あり
(日本居住者は全世界課税)
香港:課税なし
日本:課税あり
(日本法人の所得と合算)事業は非金融事業を専らとし、日本のタックスヘイブン税制適用除外会社

個人・法人とも税務上日本との関わりがない場合、金融取引の利益は日本・香港とも非課税です。

FXや株式の金融取引を事業としていないため、事業でない取引から稼得される利益はキャピタルゲインとなり香港で非課税になります。ただし損失が出た場合でも繰越欠損金にはならないので留意が必要です。

また仮に、大掛かりなITシステムや会社と同様の機構を導入し、膨大な数の金融取引をシステマティックに行い事業とみなされた場合でも、日本の法人税率より低い16.5%(法人)、15%(個人事業)の税率が適用され、損失は欠損金に繰り入れられます。

一方、個人・法人とも税務上日本と関わりあるケースでは、個人の日本居住者であれば、例えば、香港の金融機関のオンライン取引を通じて利益を稼得すると、香港での取り扱いは上記の香港居住者と変わりませんが、日本で課税されます。これは個人の日本居住者(日本人のような永住者)に対して、日本は全世界課税を適用しているためです。

株式20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税、FXについては総合課税で雑所得に分類され他の所得と合算され累進課税が適用されます。

一方、日本国内FXの場合でしたら20%の申告分離課税ですが、海外FXの場合は雑所得に分類され、所得に応じた税率が適用されることに留意が必要です。

日本法人の子会社である香港法人は、香港での取り扱いは上記の香港法人と変わりませんが、個人の日本居住者と同様、日本で課税されます。平成29年度の税制改正により、例え香港法人に実体があり、日本のタックスヘイブン税制適用除外を受けていても、事業とは関わりのない金融取引(FXや株式)の利益は受動的所得として、日本法人の所得と合算して法人税が課されるためです。

というわけで、個人の香港居住者はFXでもキャピタルゲイン非課税の恩恵を受けることがおわかりいただけたかと思います。もしご質問などあればお気軽にお問い合わせ下さいね!

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